外資戦コン最速昇格の秘訣と採用の裏側

徹底したケース対策で外資コンサルに入社。その後も爆速で昇格を繰り返した筆者が就活やその後の成功について語ります。

マッキンゼーを落ちた私が泣きながらボスコンに受かった話(その6)

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ベイン二次面接

ベインのオフィスは洗練されていて、会議室に案内してくれる方もとても美しい方だった。さすがは外資コンサル。

面接官が登場。『マネージャーの〇〇です。』眼鏡の奥で眼光がキラリと光る。

 

お題は「都内の違法駐車の数を求めよ」

聞いた瞬間、これは難しそう。と感じる。

なんとか答えていく。

  1. まず都内に走っている車の数を考えます。そのうち何割が違法駐車を行うか、という観点で計算していきます。
  2. 東京都の人口はおよそ1000万人、さらに周辺の県のベットタウンも含めると3000万人程度と考えます。ここからざっくり世帯数を推定すると1500万世帯、家族世帯800万世帯、一人暮らし700万世帯とします。家族世帯は一家に一台、一人暮らしは7人に一人が持っているとするとおよそ900万台の車が都内領域の自家用車として存在します。
  3. 次に商用車を考えます。商用車には営業車、輸送車がほとんどを占めると思いますが、輸送車は営業停止などを懸念して違法駐車はほとんどしない、かつ数にしても営業車の方が大きいと考え、今回は商用車に絞ります。3000万人の内、労働人口はおよそ2000万人程度と見積もります。(日本の人口分布よりも少し多いとして)この2000万人のうち、営業職の人口は5分の一程度と考えられるので、400万人、4人で一つの車をシェアしていると考えて、100万台とします。
  4. 平日は営業車が多く、休日は自家用車が多いという構造になると思います。自家用車の平日利用を10%、商用車は80%、逆に休日は自家用車40%、商用車20%とすると、平日170万台、休日740万台
  5. これらの車はなんらかの形で駐車を必要とするが、そのうち車を駐車場に止める場合が大半であるため、このうち5~10%程度の車しか違法駐車の可能性はない。sらに休日利用の場合は多くの車が郊外での利用となり、違法駐車を必要としないことも多いので、こちらは1~5%程度の違法駐車の可能性と考える。
  6. これらを総合すると、平日8万台〜17万台、休日7万台〜35万台程度と見積もられる。

ここまでの回答で良かったポイントは以下

  • 「走っている車の数から違法駐車の数を求める」というアプローチ

    →このケースにはいくつかの計算方法が考えられる。①都内の道路の長さの総和と違法駐車の間隔から求める②都内で駐車を必要とする車の数と駐車場の数から求める③都内を走っている車の数から、違法駐車を行う割合を求める。これらの内、もっとも求めやすい数が、③の「都内を走っている車の数」であり、①の「道路の総和」や②の「駐車場の数」を求めようとすると、これはいくら計算してもあてずっぽうにしかならない。下手をすれば一桁も二桁もずれる。

  • 自家用車と商用車を区別している。

    →法人、個人をセグメントとして区別するのは基本的な考えだが、多くの場合個人のインパクトが大きくて法人はおまけにしかならない。今回のケースは違法駐車なので直感的にも営業車が大きな割合を占めていることがわかるため、法人個人両方を検討することが大事

  • 輸送車を思い切って省いている。

    →これは賛否あるかもしれないが、ここで輸送車も計算しようとするとさらに細かい計算が必要になり、複雑すぎる。一旦商用車=営業車として計算し、あとで輸送車を足してもいい。ただ都内を走っている車を数えた時に、トラックと乗用車の比率はせいぜい1:4程度なので、省いても問題ないと推測される。

 

続いて戦略的な面接に移行。

 

面接官:では、「違法駐車」と「渋滞」の関係性を答えてください

アセルス:??

面接官:「違法駐車」は原因でしょうか、結果でしょうか?

アセルス:渋滞に対しては原因だと思います。

面接官:よろしい。では東京都として渋滞を減らす方法を考え付く限り答えてください。 

アセルス:ちょっと1-2分考えても良いでしょうか。 

面接官:良いですよ。

 

1-2分で思考を整えたのち、回答

  1. まず、「渋滞」を構造化すると、ある道路の点における流入量 > 流出量 という図式が成り立つと思います。
  2. 流入量は「保有台数」「走っている車の割合」「その道路を選択する割合」などに影響され、流出量は「そもそもの車幅の狭さ」「工事による車幅の狭まり」「違法駐車による車幅の狭まり」「信号の非効率」「合流、分岐によるタイムロス」などに影響されます。
  3. ですので、基本的に上記の影響を与える要素を改善することが渋滞緩和に繋がります。まずは「炭素税」や「都内走行税」などの利用料を課すことで、走っている車の量そのものを減らすアプローチがあります。
  4. また流出量を増加させるために、違法駐車への罰則強化や取り締まり強化、駐車場の新設、信号の組み合わせの見直し、カーナビと組み合わせ迂回ルートを選択するように誘導するなどが考えられると思います。
  5. 他には突飛な考えかもしれませんが、全ての車のデータを衛星データでトラックし、最適な道を誘導するようなシステムを作るのも良いと思います。もしできればですが、、、(*今では当たり前の考えだが、当時はIoTの活用はそこまで進んでおらず。)

 

満足げに頷く面接官。いくつかの追加質問がある。

 

面接官:では、あなたが東京都の知事なら、どのように優先順位づけを行いますか?

アセルス:全ての打ち手を並べ、その期待効果を計算します。その上で、実行ハードルがあまりなく、効果の大きいものから順に行っていくべきだと思います。

面接官:よく分かりました。面接は以上になります。ありがとうございます。

 

後半の回答で良かったポイントは以下

  • 「できる限り多く答えてください」に飛びつかない

    →この手の質問をした時に、より多く答えたものが勝つ。と思っている受験者は意外に多い。ただし、ここでも構造化は非常に重要。構造化→ドライバー→ドライバーに対する対策という流れを踏むことで、どんなものに対しても構造化して考える人間だと印象付けることができるし、結果として漏れなく多くの施策を述べることができる。

  • ちょっと面白いことを言う

    →炭素税や渋滞の罰則強化などは手堅い施策ではあるが、面白みに欠ける。自動車の交通データを衛星でトラックすることが面白いアイディアかは置いておいて、少し通常の思考から飛ばした答えも散りばめた方が、クリエイティビティも示せる。

 

 

後日の結果は合格。晴れて最終面接に進めることになった。

 

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